1  はじめに

令和3年10月、内閣に新しい資本主義実現本部(以下「実現本部」)が設置され、その具体化を進めるために、新しい資 本主義実現会議(以下「実現会議」)が開催されました。同年1

1月には実現会議から「緊急提言( 案)」が公表され、また、令和4年6月には実現本部から「新しい資本主義のグランドデザ イン及び実行計画(案)」やその工程表等が公表されました。

その中で、多数決による私的整理手続が検討されており、令和4年10月には、「新たな事業再構築のための法制度の方向性(案)」1が公表されました。

今回は、この「新たな事業再構築のための法制度の方向性

( 案)」の概要と、このような検討がなされた背景(現状の私的整理手続の課題)についてご紹介いたします。

2  現状の私的整理手続とその課題(全員同意)

私的整理手続は、窮境にある事業者が、主に金融機関からの借入金債務を対象として、支払時期の繰延べ(以下「リスケジュール」)又は債権放棄を求める内容を含む事業再生計 画案を立案して対象債権者に提示し、全対象債権者の同意を得て、事業再生計画案に沿って再建を図る手続です。

Location:

1.産業競争力強化法等の改正

2021年8月2日、「産業競争力強化法等の一部を改正する 等の法律」の一部が施行されました。

(https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210802001/20 210802001.html:経済産業省のHP参照)

改正内容は多岐にわたりますが、本稿では、中小企業再生 支援協議会(以下「協議会」といいます。)による事業再生支 援の機能強化について、取り上げたいと思います。

2.プレDIPファイナンス及び商取引債権保護規定の 創設(総論)

Location: